ある日のこと、初めて品川から新幹線に乗った。乗れること自体を忘れかけていたが、京急沿線からだったので、そういえば品川乗換で行けるな、と。
で、入念に時刻表をチェックして空いていそうなのぞみ(新大阪止まりで前便ののぞみと時間差が少ないもの)を選んで、自動の指定席券売機で窓側を指定。切符をみると16号車。N700系は以前に一度乗っているので、両端の先頭車の先端側乗降ドアは微妙に削られたような形であることは知っていた。せっかくだからと、ホントの最後尾のドアから乗車することにした。
先発ののぞみを見送ったりしてたら、乗車する列車がやってきた。車掌さんから型式ごとに停止位置を確認できるマークがあるわけね?。で、乗ろうとする私に車掌さんが生の声でひとこと。
「お待たせしました?、どうぞ。」
おお、すごい。フレンドリーというか、生でごあいさつなんて、新幹線じゃないみたいでちょっと恐縮。で、新幹線で東京から下ってくるのは随分と久し振りだから、窓にかじりついて見ていた。
途中、先ほどの車掌さんが少し前の方の老夫婦に話しかけている。どうも忘れものか何かをしたらしく、私が乗る前から相談していたらしい。
「駅に問い合わせてみますから」
といった会話が交わされていたようだった。ただ、しばらくするとおじいさんがどこかに忘れてきたと思っていた物が鞄から出てきたらしく、車掌さんに丁寧にお詫びとお礼を言っていた。うーん、温かい光景ですなあ。
それからかなりの時間が経ったころ、車内検札の様子。なんだけどほとんど誰も切符を見せていない気がする。で、私のところで車掌さんの足がふと止まった。切符を差し出すと、
「そこでいいですか?」
と。ん?そこって指定席じゃないん?と思って切符をよく見たらE席だった。座っていたのはA席。「あ、ごめんなさい、間違ってました。移りましょうかねえ」と言ったら、
「いいですよ、こんなにガラガラだし、まあ新大阪まで大丈夫でしょ。」
確かにガラガラだった。それに不思議なことにほぼ全員の客がE列座席で、A列に座っているのは自分一人だった。そして重い荷物を移動させるのも面倒だったので、結局、新大阪までそのままの座席に。
いつもの癖でついつい進行方向左側に座ってしまったけど、雨の中、ほんのりと温かい世界を味わった気がした。
おしまい。
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